トリガーポイント療法とは
鍼治療には、痛みの元になる部位に直接アプローチするトリガーポイント療法という治療法があります。
①トリガーポイントとは『痛覚過敏部位』の事を言います。
トリガーポイントは仕事や運動など日常生活の中で反復する動作や、長時間の同姿勢の保持など、負担の蓄積による悪循環により形成されます。痛みや痺れ、身体の不調の根本原因となっている部位です。
②トリガーポイントの好発部位
(1) 神経が分布する所(筋膜・腱・骨膜・靭帯・関節包など)
(2) 刺激が反復される所(筋肉と骨の付着部・腱と骨の付着部など)
骨格筋や筋膜・靭帯・腱などに形成されたトリガーポイントは『痛覚過敏部位』として認知されます。痛覚過敏部位を直接的にアプローチする事により長引く痛みや急性的な痛みなどに即効性が認められます。
③関連痛とは
トリガーポイントを指や鍼で刺激すると、刺激した所とは別の場所(遠隔部位)にも痛みが拡がる現象が起こります。この遠隔部位に拡がる痛みを関連痛といい、トリガーポイントが存在している筋や重症度に応じて、多様な関連痛パターンが存在します。
ここで重要なのが、『患者さんが痛みを感じている場所とは違う所に、真に悪い場所がある場合がある』と言う事です。痛みの根本原因であるトリガーポイントを、関連痛領域から特定していきます。

• 斜角筋のトリガーポイントが腕にかけて痛み(関連痛)を引き起こす。
• 小殿筋のトリガーポイントが脚にかけての痛み(関連痛)を引き起こす。
④自律神経症状に有効である。首凝りへのアプローチ
自律神経は交感神経と副交感神経に分けられ、全身の器官の働きを調整しています。交感神経は日中や活動しているときに働き、副交感神経は夜間やゆっくりしている時に働きます。
自律神経は無意識下に一日中働き、内臓、循環器、呼吸器を24時間フルサポートで身体を調整してくれていますが、精神的、肉体的なストレス、気温差、不規則な生活が蓄積すると、交感神経と副交感神経のオンとオフの切り替えが上手く行かなくなります。
特に首凝りが酷くなると自律神経の交感神経が優位になり、副交感神経の働きが低下し、不定愁訴と呼ばれる様な様々な不調が生じます。首の筋肉は何層にも重なり合い、鍼では無いと直接アプローチ出来ない深さの筋肉も数多くあります。
トリガーポイントを刺激して生じる『響き』には副交感神経を強制的に活性化する働きがあります。実際に鍼治療を受けた事がある人は、消化器系の働きがよくなりお腹がよく動いたり、涙の分泌が良くなり目が見易くなったりします。
近年日々の仕事や家事による、頚部環境の悪化から様々な身体の不調を来している方がとても増えています。頚部に形成されたトリガーポイントを適切に除去する事で、自律神経機能の働きを正常に導き、症状の改善を目指します。

自律神経機能の乱れから生じる不調・不定愁訴(頭痛、不眠、めまい、ふらつき、のぼせ、冷え、耳鳴り、難聴、動悸、多汗、便秘、下痢、イライラ、不安感、疲れやすい、気分が落ち込む、手足の震え、手足の痺れ、生理不順、頻尿、残尿感、舌の痛み、口や喉の不快感など)
頚性神経筋症候群(CNMS)・首コリ病についてのリンク
⑤認知覚とは
トリガーポイントに当たった時「ああ!それです!そこです!」(痒いところに手が届いた時の様な感覚)に感じる感覚を認知覚と言います。
手技療法でも認知覚は得られますが、深部にトリガーポイントがあればそれはあいまいな感覚になります。鍼治療では深部のトリガーポイントに対して直接的にアプローチする事が出来ます。適切にトリガーポイントを処理する上で「それです!私の悪い所は!」という患者様自身の感覚を大切にしながら施術を行います。
⑥慢性疼痛疾患(腰痛、肩こり、頭痛など)に有効
MPS(myofascial pain syndrome)筋・筋膜性疼痛症候群に有効です。トリガーポイントに起因し、筋・筋膜の痛みを主訴とする一連の症状をMPS(myofascial pain syndrome)筋・筋膜性疼痛症候群といいます。
慢性的な腰痛、肩こり、頭痛などは筋肉に形成されたトリガーポイントが原因で起こります。痛みや痺れが伴う場合でも、骨や神経が原因でないケースが多くあります。レントゲンやMRIなどの画像診断で脊柱管狭窄症や椎間板ヘルニアなどと診断された場合でも、本当の痛みの原因は筋・筋膜性症候群(MPS)によるもので、トリガーポイントへのアプローチにより改善される症例が数多くあります。








